頭の中で思い描いた理想の施肥・潅水を再現できる装置を求めて

TRYFARM さま(青森県階上町)/小玉トマト

養液(点滴)栽培と耐候性軒高ハウス
所在地青森県階上町
作物小玉トマト
導入規模10a

自己紹介をお願いします。

TRYFARMの高田と申します。青森県階上町で施設園芸でミニトマトを作付けしております。 新規就農者という立場なんですが2020年に就農し、今年(2024年)で就農5年目を迎えております。

就農のきっかけは、30歳という年齢の節目を迎えたということが一つと他にも色々あるのですが、 前職の会社員を辞めて2020年に農業で起業しました。

TRYFARM代表 髙田貴寛様と自動施肥・灌水制御盤「あぐりウォーター」

農場の特徴は、青森県の太平洋沿岸地域にある階上町という場所なんですが、 年間を通して豊富な日射量があります。夏場でも比較的冷涼な地域ということもあり、 そういった地域特性を活かして、トマトの周年出荷をして差別化を図っています。

ハウスの規模は10aで一棟という小さい規模ではあるんですが、限られた面積で安定的な収益を達成するため、 今はほぼ全て高糖度トマトを栽培し、高単価での販売を狙っています。

周年を通して高品質なトマトを出荷するために、就農時からハウス設備にはこだわりをもって整備に当たりました。 施肥・潅水装置については「あぐりウォーター」を導入させていただいて、その他にもハウス加温機やヒートポンプ、 遮光カーテン、換気設備、細霧冷房などを備え、様々な設備を自動制御できるようなハウスになっています。

EHP(ヒートポンプ)、ミスト送水ポンプ
温風暖房機
ミスト噴霧装置とミスト送水ポンプユニット

就農時の設備にかかる資金は、新規就農者を対象とした青年等就農資金を活用して施設整備を行っています。 予算にも限りがあるので、建設から40年くらい経過した休耕ハウスを借り受けて、大幅な改修をかけることで予算内で就農をすることができました。

販売面では、今は主に青森県内ではなくて県外、特に関東圏や九州の百貨店やスーパーマーケットとお取引をさせていただいてます。

あぐりウォーターの導入目的・きっかけをお聞かせください。

就農時から「あぐりウォーター」を導入しています。就農するにあたり施設園芸・トマト栽培に必要な知識を習得するため、 就農前の研修で県内外、多数の圃場を見学させていただいた中で、 私の体感としてトマト栽培の肝となるのは施肥・潅水だという風に理解しました。

トマト栽培の肝となるのは施肥・潅水

そしてこれから自分が営農していく中で、どういった品質のトマトを作って、どういう価格で販売していけば営農を継続できるかを考え、 その理想に近いトマトを作るために、自分の頭の中を再現できるような機械を探すということを意識していました。

選定にあたっては自動制御であること、そこに手間がかからないこと、そして少量で多潅水に適した機械であることを前提に探しました。 また、施肥・潅水データを蓄積できて、最終的にはクラウドを通して様々な場所で水平展開できるような機能もあればいいなと思っていました。

そんな中、青森県内で有数の施設園芸技術をもたれている篤農家、 所謂師匠にあたる方のもとで研修する機会に恵まれました。 その時に師匠の方が紹介してくれたのが「あぐりウォーター」で、詳細を聞いて行く中で これは自分の理想の施肥・潅水装置なんじゃないかと思い導入を決めさせていただきました。

実際にあぐりウォーターを使ってみていかがでしたか?

とても満足しているというのが率直な感想になります。 目に見える作物の状態だけじゃなくて、水分センサーやECセンサーを通して、 地上部の環境だけでなく、根のある地下部の環境も確認しながら、 生育に合わせて日々適切な施肥管理を実践出来ていると感じています。 また、蓄積したデータをクラウドから抽出したり、自分の見やすい形にアレンジして 日々施肥管理をアップデートすることにも繋げることができています。

タブレット端末によるあぐりウォーター操作の様子

省力化の観点では、就農当時から「あぐりウォーター」使用しているので比較は難しいのですが、 液肥を作り、あとは事前に生育に合わせた設定を行うだけで、 基本的には自動で潅水してくれる機械になっていますので、 手動で潅水する工程に比べれば90%以上の工数は削減できているのではないかと想像しております。

品質面では、日射比例式の潅水を行うことで日射が多くなっても作物が萎れる前の 適切なタイミングで施肥管理が出来ますし、曇天時であれば不必要なかん水を控えるなどの微調整もできます。 高品質な作物を作る上で潅水が大きなファクターになってますので大変助かっています。

あぐりウォーターを使用する上で工夫していることがあれば教えてください。

太陽の入り方によってハウス内の多少の温度ムラができてしまうことは避けられないのですが、 温度ムラに伴って飽差というか、湿度の状態がどうしても均一にならないところが少しありますので、 水分センサーやECセンサーを3カ所に東・中央・西のような形で分散配置し、 潅水系統もそれに応じて分散管理することで、それぞれの生育環境に合わせて潅水設定を調整する工夫をしています。

土壌水分・ECセンサー設置

今後の展望やご要望があればお願いします。

就農から今年で5年目に入っております。一般的に新規就農期間といえば5年というのが通例になると思うのですが、 私も5年の節目を迎えるところでもありますので、これまでの実績を元に自治体・メーカー・融資機関と連携しながら、 現在の作付け規模の10倍(1ha)以内で、最適な規模・施設内容になるよう増設を計画しています。

あぐりウォーターはもちろんまた導入させていただきたいと思っていますが、 青森県も比較的冷涼であるとはいえ昨今の猛暑の影響を受けているので、 そういう暑さを緩和できるような設備も予め検討していこうと考えています。

また現在の規模10aだと私と1~2名で運営できているのですが、 増設するとなれば従業員の雇用など、これまでとは違う管理や運営の工夫が必要になってくると思いますので、 栽培技術だけでなく経営者としても勉強の時間を割きながら進めていきたいと考えています。

スマート農業について、今後の課題や期待していることがあればお願いします。

スマート農業を導入するにあたっては、必然的にお金がかかるような取組になると思います。 もちろん生産者の熱意や知識量、実績なども大前提になるとは思うんですが、 それ以上に人の繋がりや各メーカーさんとの連携が大事だと思っています。 そして一番大きいと思うのは、やはり行政を巻き込んで包括的に取組していかないと、 農業っていうのは色々な側面で成り立っていかないんだなと、この5年を通して感じたところです。

収穫の様子(2名で栽培、収穫・選別、出荷、営業をこなす)

スマート農業導入することで、生産性を飛躍的に高める効果があると思いますが、 導入に際しては色々な難しさもありますので、生産者やメーカーはもちろん行政も含め、 これまで以上にスマート農業への理解が促進されて、 よりスマート農業の導入が推進されていくような環境になって欲しいと思います。 私自身もしっかり実績を重ねることで、様々なレイヤーの方々と連携して 農業全体を盛り上げていけるような存在に なれるよう研鑽していきたいと考えています。

最後に、これから導入したいスマート農業技術や設備について何かありますか?

施設園芸のトマト栽培は、どちらかというと機械化が大規模に進んでいる作物ではあると思いますが、 各作業工程を分解して見た時に、大部分が比較的単調な作業の連続だという風に考えており、 それぞれの単純作業を工夫することでより省力化することが出来ると思います。

たとえば収穫ロボットなどは最近は実践に近いレベルで出てきているとは思いますが、 他にも葉かき作業や誘引作業の単純作業がトマト栽培の中でも50~70%を占めるので、 技術的に未だ先になるのかもしれませんが、こういった単純作業がより機械化していくことで より良い営農環境になって欲しいと思っていますが、 まずは既存の設備をうまく活用していきたいと思います。

あぐりウォーター(自動潅水・施肥制御盤)の詳細については製品ページをご確認ください。

あぐりウォーター製品ページ