スマート農業日誌


 

題名: 水稲の水管理についてvol1.

目標:オープン水路にて水管理の自動化をおこなう

 

水稲における水管理の工数は、工数の約1/4~1/3と言われています。

 

 

jwpでもオープン水路用の自動水門板、水温、水位、地温センサの「ライスマネージャー」を試作し実証検証をしてきました。ライスマネージャーの コンセプトは、今後増えるであろう大規模集約化で遠方の圃場を管理する場合ほど水管理工数が多くなる。 水位、水温、地温、温度や照度などを測定し、データを蓄積し、水温や水位、栽培工程な どから、指定した水位に水門板をモータで動かし自動で水位を調整をおこなおう! でしたが、その頃他社でも安価な製品を目指し開発していることを伺い、その情熱や事業に感銘を受け、良いモノがあるのならそれを使い、水稲の水管理に貢献できればと考えました。

 

オープン水路(水門板)用の水管理(水位)調整器

株式会社笑農和の 水稲農家向けスマート水田サービス 「 paditch(パディッチ)」などがあります。

 

青森県(寒冷地)への運用適用

西北津軽地域

本地域は、青森県の西部白神山地を源流とする岩木川の左岸地域に位置し、弘前市、五所川原市、つがる市、鶴田町にまたがる水田地帯である。本地域の関係4市町の耕地面積は41,890haで青森県の耕地面積(157,200ha)の約27%を占める県内有数の農業地域である。水稲、小麦、大豆の収穫量は青森県のそれぞれの収穫量の38%、78%、48%を占める県下の重要な穀倉地域を形成している。

西北津軽の田園風景

 

青森県に多いオープン水路

 

寒冷地における水管理の重要性

寒冷地では田植え時期の平均気温が低いため、水の保温効果を生かした初期の深水管理は極めて重要になります。 苗の活着も水温が重要となります。

寒冷地では、暖かい地域と違い、低温や強風時は深水管理、高温や晴天時は浅水や、入水・排水をおこない水温を下げたりします。

寒冷地での水管理は、特に低温時の障害回避効果が高い。

 

水管理センサ ネットワーク

LPWAネットワークになります。

 

水管理センサ 利用例

 

スマートフォン画面

 

水位、水温センサ

 

水位設定とアラートメール通知先の設定UI

 

2019年の水管理データ

 

気温、湿度センサ ~積算温度を自動で取得する~

出穂からの積算温度などをを演算します。青森での刈取時期は、適期が出穂後積算温度960℃、晩限が「つがるロマン」では同1150℃、「まっしぐら」では同1200℃に到達する暦日とされています。
まっしぐら 出穂後積算気温で960~1,200℃
つがるロマン 出穂後積算気温で960~1,150℃
青天の霹靂 出穂後積算気温で900~1,100℃
収穫適期は概ね3日程度です。また、有効積算温度を用いた水稲の出穂期予測などにも活用できるはずです。

 

では2019年 西北津軽に置いた温度センサで出穂からの積算温度がどうだったか確認してみましょう。

 

2019年8月10日に出穂し、9月24日(稲刈り予定日)までで 1100.4℃。晩限に近い積算温度でした。
実際の圃場を見てベテランの農家が判断しますので、適期のはずです。積算温度を知ることにより、大まかな計画や、収穫期の天候等を加味した判断に利用できます。

 

実際に取付けたLPWA温度湿度センサ

 

実は西北地域では五所川原のアメダスデータから予測している

2019年9月 普及だよりから

水管理センサ、温湿度センサは乾電池で駆動

1シーズン、1年位はそれぞれ乾電池で動作可能です。春に電池の電圧をチェックするか、新しい電池に交換すれば1シーズン電池を交換することなく運用できます。

 

単独ソーラー電源を使用することで基地局の電源をまかないます

商用電源がない場合、単独の太陽発電での運用も可能です。 弊社では、使用する負荷、設置場所に合わせた専用の独立型単独太陽光発電電源を提供しています。

 

 

水稲のコストと収益

実際、水管理を自動化した場合10a当たりでの収益から比較しました。(古いデータですみません)

残念ながら、1表9,500円では、元々の収益はマイナスになるので、1表12,000円とし時給がマイナスにならない様に試算しました。

時給を求め、労働時間の1/4を水管理工数として、水管理工数を全部削減できたとして400円~1,200円/年の費用削減効果しかありません。

しかし田んぼが遠隔地にあり、往復の時間や、経費が多くかかる場合は、水管理のメリットが出るはずです。

 

導入のポイント

● 水管理の工数を削減する
(経営形態により人的工数大幅減=大幅な人件費削減とはならない *水管理を委託・雇用している場合は人件費削減可能)

● 離れた田圃の水管理を自動化する

 燃油等の削減につながる

● 灌漑用水経路が違う等条件が異なる田圃毎の基準として設置する

● きめ細やかな水位調整、間断灌漑、遠隔操作をおこなう

● 24時間体制で調整できる

● 収量、品質の向上の一手としていく

● データを蓄積し、傾向等をつかみ活かす

etc.

 

今後の寒冷地における水管理システム・アプリケーションの展開について

jwpは寒冷地での水稲 水管理サービスを展開していきます。

使い易い水門調整および水管理センサを採用し、統合的な水管理サービスを目指します。

 

プレス記事掲載

静岡県/コメづくりのための農業ICTカンファレンスin静岡

 

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記事

2019年10月1日 株式会社 ジョイ・ワールド・パシフィック ITビジネス課 記事by y.s

※記事は執筆者の個人的見解であり、当社jwpの公式見解を示すものではありません。

 

 

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